伸び悩みを打破し、レーティングを上げよう!高効率の練習方法を紹介
- なかなか今のレーティングから抜け出せない…
- 頑張って毎日練習してるのにちっとも上達しない…
- 早くAフライトになりたい!
上記のようなお悩みを持ったダーツプレイヤーは多いでしょう。むしろ、余程の天才プレイヤーでない限り、誰もが覚えのあることだと思います。
頑張って日々ダーツの練習をしているのになかなか上達しない方は、練習方法に問題があるかもしれません。
ソフトダーツにおける練習ゲームの代表かつ王道は、『カウントアップ』。
実際に、現在日本のプロシーンでしのぎを削るトッププレイヤーの方々も、気の遠くなるような数のカウントアップを重ねて現在の姿があるのだと思います。
しかし、だからといって闇雲にカウントアップを重ねることだけが最良の練習方法であるとは言えません。カウントアップだけを重ねても上達しない方が多くいるのも現実です。
本記事は、伸び悩みから抜け出せない方や、最高効率の練習を目指す方へ、『インターリーブ』を活用した練習方法を紹介していきます。
本記事で紹介する練習方法を正しく実践することで、停滞を乗り越えることができる方もいらっしゃるはずです。
是非本記事で紹介している『インターリーブ』を、皆さんの練習に取り入れてみてください。
はじめに:カウントアップは最良の練習なのか
国内のダーツシーンにおいては、ほとんどのプレイヤーに『カウントアップ信奉』が根付いています。
上手くなるためには、ひたすら長時間カウントアップでBull、あるいはT20を投げ続けるのが良い。この風潮はダーツ界においては常識で、誰もが信じて疑いません。
しかし、このカウントアップ練習、つまり反復練習は本当に効率の良い方法なのでしょうか?科学的な根拠はあるのでしょうか。
恐らく、ほとんどの指導者はこれに答えられないかと思います。
カウントアップ信奉の根拠は『経験則』です。バーにいる上級者やプロプレイヤーは確かにカウントアップを繰り返して強くなった方がほとんどです。
しかし、それは『カウントアップが最も有効な練習』である根拠にはなりません。
実際に、膨大な数のカウントアップを重ねても、トッププロのような実力を手に入れられる方は多くありません。むしろ伸び悩む方が多数派です。
本記事で紹介する『インターリーブ』は、『反復練習よりも効果が高い』ことが科学的根拠をもって世界中で発表されています。
現在の練習で伸び悩んでいる方は、これを利用しない手はありません。
カウントアップが『重要』であることは変わらない
本記事は、反復練習を軽視するものではありません。カウントアップがダーツ上達のために重要な練習であることは間違いありません。
ダーツは再現性がとても重要なスポーツ。
フォームを身体や反射神経へ刷り込む、長時間投げれる筋力を養うなどの点において反復練習は優秀です。
本記事で紹介する『インターリーブ』を取り入れた練習法は、反復練習に費やす時間の一部を『インターリーブ』に置き換え、練習効率の向上を狙うものです。
『インターリーブ』とは
では、『インターリーブ』とは一体どういう練習法なのか、紹介していきます。
認知心理学における「インターリーブ」とは、複数の練習を交互に行うことで、学習やトレーニングの効率性を高める方法です。
『反復練習』では『A』というトレーニングをひたすら繰り返すのに対し、『インターリーブ』では『A』と『B』のトレーニングを交互・あるいはランダムに繰り返します。
このように、トレーニング内容にランダム性を持たせる練習・学習手法が『インターリーブ』と呼ばれます。
複数の論文にて、変化を取り入れた学習・トレーニングはパフォーマンスの向上を招く効果があると発表されました。
インターリーブに関する実験
インターリーブは世界中で20世紀後半から研究されてきました。
ここから、世界の学者により論文で発表された実験結果を紹介します。
お手玉実験(1978年・オタワ大学)
1978年、オタワ大学(カナダ)の研究者(ロバート・カー / バーナード・ブース)が行った実験です。
研究者ふたりは、8歳の子ども36名を2グループ(A・B)に分け、それぞれのグループにある課題を課しました。
- ゴルフボール大のお手玉を、膝立ちになって床に描いた的に向かって投げる。
ただし、投げる最は目隠しを着用する。 - 投げ終えたら目隠しを外し、投げた結果を確認する。
- 確認後、再度目隠しをしてお手玉を的に向かって投げる。
この課題を実施した時点ではA・B両グループのスキルには明らかな差はありませんでした。
異なるトレーニングを課す
次に研究者は、子どもたちに練習をさせました。ただし、A・Bグループでそれぞれ異なる練習を課しました。内容は以下の通り。
Aグループ
⇒ 100cm先の的に向かってお手玉を投げる
Bグループ
⇒ 60cm先と120cm先に的を設け、いずれかに向かってお手玉を投げる
※練習時間や、投球数は各グループとも同一とした。
以上の練習を週に一度、12週実施しました。
12週目にテスト実施
12週目を迎え、お手玉投げのテストが実施されました。
テスト内容は、『100cm先の的に向かってお手玉を投げる』というもの。つまり、Aグループが12週に渡り練習してきた内容です。
テストの結果、より正確にお手玉を投げられたのはBグループでした。
テストと同条件の練習を繰り返したAグループより、異なる条件で練習を続けたBグループの方が良い結果を残したのです。
被験者を変えて再実験も
研究者は、次に12歳の子どもを集め、同じ内容の実験を行いました。
結果は、やはりB(異なる距離での練習をした)グループの方が良い成績を残しました。
さらに、12歳の子どもたちの方が8歳の子どもたちの場合より差が顕著に表れました。
バドミントン実験(1986年・ルイジアナ州立大学)
ルイジアナ州立大学の研究者が、若い女性30名を対象に、バドミントンのサーブがどれだけ上手に打てるようになるかを実験しました。
- 被験者は3グループに分かれ、それぞれ異なる条件で練習を行う
- 各グループが、3種のサーブをどれだけ上手に打てるか採点する
サーブは、『ショート』・『ロング』・『ドライブ』の3種 - 週3回の練習を3週間実施する
- 練習する球数に差は設けない
各グループの練習条件は以下の通りです。
・Aグループ
⇒ 1度の練習で1種のサーブのみ打つ。
初日は『ショート』のみ、2日目は『ロング』のみ、という具合。
・Bグループ
⇒ 毎回の練習で、3種のサーブを決まった順番で打つ。
ショート → ロング → ドライブ の順。
・Cグループ
⇒ 3種のサーブをランダムに打つ。
ただし、連続して同じサーブを打つことは禁じる。
※各グループとも、『コートの右側』から打つ練習のみ行った。
テスト結果は明らかな差が
練習期間を終え、テストが実施されました。ただし、テストの際は被験者たちが練習してこなかった『コートの左側』からサーブを打つことが課されました。
試験官が指定するサーブを正確に放てるか、採点が行われましたが、結果は明らかな差がつきました。
Cグループ > Bグループ > Aグループ の順に好成績となりました。最優秀のCグループは、Aグループと比べると平均1.5倍のスコアを収めました。
インターリーブ実験は他にもいろいろ
2点の実験を紹介してきましたが、インターリーブに関する実験や論文は、他にも多数発表されています。そして、そのどれもが『ランダムな練習を行ったグループ』が優秀な結果を残したと伝えています。
反復練習よりインターリーブ
ここまでの内容で、本記事でお伝えしたい内容はだいたいお分かりかと思います。
『スキルの習得にあたり、反復練習よりもランダム性のある練習の方が優れている』ということです。
では、次からはダーツの練習にインターリーブを取り入れるにはどうすれば良いか考えていきましょう。
ダーツ練習にインターリーブを取り入れる
インターリーブとは、『反復練習を避け、ランダムな要素や環境の変化を取り入れる』ことです。正確には違いますが、この認識で問題ありません。
では、ダーツ練習においての有効な要素を検討しましょう。
- 狙うターゲットが変化し続けるゲームをする
- 投げる環境(店舗やマシン)を変える
現実的には上記二点が妥当かと思います。
では、次からは①の『ターゲットが変化し続けるゲーム』について、具体的にどのような練習をすれば良いか紹介していきましょう。
環境ごとの練習内容
ここから、各々の環境ごとに、インターリーブを取り入れたオススメの練習ゲームを紹介していきましょう。
ダーツライブ
- ハーフイット
- シュートアウト
- ダーツ・オブ・ザ・デッド
上記のゲームは、狙うダーゲットが変化し続けるものばかりです。
ハーフイットに代わりCRカウントアップでも良いですが、私はやはりハーフイットがオススメです。難易度調整ができる点や、プレッシャーがかかり続ける点などでCRカウントアップより質の高い練習が行えるためです。
基本はハーフイット⇔シュートアウトを交互にプレイし、息抜きにダーツ・オブ・ザ・デッドをプレイすると飽きずに練習できます。(ダーツライブ2のみ)
フェニックス
- ハーフイット
- ハイパージャンプアップ
- ラウンド・ザ・ローテーション
フェニックスをプレイする場合も、ダーツライブの時と似た内容です。
上記3ゲームであればターゲットが変化し続けるので、インターリーブの効果を得られるでしょう。
ダーツライブホーム
- ハーフイット
- シュートアウト
- フィニッシュトレーナー (有料会員のみ)
家庭でダーツライブホームをお持ちの場合は上記の内容が良いでしょう。
マシンの時と同様、ハーフイット⇔シュートアウトを繰り返し行うのがオススメ。
グランボード
- オニレン
- デルタシュート
- ローテーション
グランボードはランダム性の高い『オニレン』を搭載しているので、ひたすらコレでもOK。
しかしオニレンは難易度が高いので、デルタシュートなどを織り交ぜながら行うのが良いでしょう。
ゲーム非搭載ボード
- ラウンド・ザ・クロック
- ローテーション
ハードダーツボードやダーツライブゼロボードなどで練習する場合はラウンド・ザ・クロックがオススメ。
ラウンド・ザ・クロックは、 1 ⇒ 2 ⇒ 3 … と、数字順にターゲットを打っていくゲーム。
ローテーションは、ターゲット1から順に時計周りにナンバーを打っていくゲームです。
インターリーブを取り入れる割合
例えば現在練習メニューとしてカウントアップのみ行っているなら、その半分ほどの時間をインターリーブに置き換えてみましょう。
反復練習(カウントアップなど)は、30分以上連続で行うことはオススメしません。30分以上行っても学習効率が良くないためです。
30分反復練習をこなしたら、同じく30分インターリーブを差し込みましょう。
その後また反復練習を行えば、高い効率を保ったトレーニングが行えます。
インターリーブの注意
インターリーブを取り入れるうえで、以下の二点は留意しておきましょう。
- インターリーブは短期間での上達は望めない
- インターリーブは楽しくない
インターリーブは短期間での上達は望めない
インターリーブを用いたトレーニングは、すぐにトレーニング効果が表れるものではありません。短期習熟性は反復練習に劣ります。
ただし、技術力の定着や長期目線での伸びしろなど、総合的にはインターリーブを取り入れた練習効果が勝ります。
途中で投げ出さず、最低数カ月から半年ほど、じっくり練習に励みましょう。
インターリーブは楽しくない
複数の著名な学者が論文で発表するほどの効果が見込めるインターリーブですが、ダーツプレイヤーがこれを実践したとき、きっと『あまり楽しくない…』と感じるでしょう。
多くのプレイヤーにとおて、ソフトダーツで最も楽しい瞬間はブルに入った瞬間。
インターリーブはその機会を大幅に奪う練習法です。なにせブルを打つことがほどんどありません。
しかし自身の成長のため、ここまでご覧頂いている方には是非歯を食いしばって面白くない練習に身を投じてほしいと思います。
まとめ
- インターリーブとはランダム性のある内容を取り入れた練習。
狙う場所や距離、環境など - インターリーブは反復練習より学習効果が高いことは数々の実験・論文にて証明されている
- ダーツにおいては、ターゲットが次々に変化していくゲームや練習する環境を変えるなどの手段が有効
- 反復練習が重要であることは変わらない。普段の反復練習の50%強をインターリーブに置き換えるのがオススメ
- インターリーブは短期間での効果は見込めない。数カ月~の長期間で取り組む
- インターリーブ練習は楽しくない
しかし実践する価値はある
以上、インターリーブを用いたダーツ練習方法について紹介してきました。
頑張って練習しても上手くならない、レーティングの壁を越えられない、という停滞期にお悩みの方は特に取り入れてほしい練習法です。
楽しいトレーニングではありません。そして、すぐに目を見張るような効果が得られるものでもありません。
しかし、その効果は数々の著名な科学者が保証しています。
今よりダーツが上手くなるために、是非皆さんの練習にインターリーブを取り入れて
みてください!