紫陽花 Onatsu SP 岩田夏海選手モデル評価レビュー / 岩田夏海選手DMC移籍後初モデル
[おなつ]の愛称で知られる、2019年 / 2021年 と二期連続でソフトダーツプロツアー[JAPANレディース]にて年間ランキング2位の座を勝ち取った岩田夏海選手。
2021年シーズンまではコスモダーツ所属でしたが、2022年シーズンより国内の大人気メーカー、[DMC]所属のプレイヤーとなりました。
その岩田夏海選手のDMC移籍後初モデルが、はやくも2022/6/1に発売となりました。
発売前から予約が殺到し、予約受付一時停止となるほど注目度の高いモデルです。
今回はそんな大人気の[紫陽花 Onatsu SP]を紹介・レビューしていきます!
スペック
まずはスペックを見てみましょう。
材質 | タングステン90% |
---|---|
重量 | 17.0g |
形状 | トルピード |
最大径 | 7.2mm |
グリップエリア径 | 約6.4mm |
全長 | 43.0mm |
重心 | フロント |
カット | リングカット |
チップ規格 | 2BA |
どの数値も、極めて標準的な値です。
重量は軽めの17.0g
重量は約17.0g。近年のバレルの中では比較的軽い部類です。
人を選ばない、扱いやすい重量です。
形状はシンプルトルピード
形状はシンプルなセミトルピード。
窪みや膨らみは排し、グリップ位置の自由度が高い形状です。
最大径7.2mm
グリップエリアは約6.4mm
ロゴが配置された前方の最大径箇所が7.2mm。
メイングリップエリアとなる中央リングカット部は約6.4mmです。
グリップエリアは標準からやや太め程度の太さで、握った際にしっかりバレルの存在感を感じられる、安心感のある太さです。
重心はフロント
セッテイング時はほぼセンターに
バレル単体ではハッキリと前重心です。
セッテイング時は、やや前重心かセンター重心程度に収まるでしょう。
前重心のバレルはその重心位置ゆえに、ダーツが飛行時にお辞儀するような姿勢になりやすいです。
そのため、飛行軌道は比較的山なりに近いものになりやすいです。
[chat face=”naruhodohuki.jpg” name=”そら” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]山なりイメージで投げる人には馴染みやすいですね![/chat]
カットは4種のリングカット構成
上記の通り、刻みは4種の性格の異なるリングカットで構成されています。
最前方のリングカットは掘りが深くピッチも広いため、掛かりは強めです。
以降は後方に進むにつれカットの掛かりは弱くなっていく印象ですが、投げている中ではほぼ差を感じませんでした。
前方の強いリングカット、中央から後ろは弱めのマイルドなリングカット くらいのもので捉えていれば問題ないように思います。
投げてみた感想
ここからは私が投げてみた感想を紹介していきます!
良いところ
あらゆる点がスタンダード
シンプルイズベストを貫いた
このバレルには特筆するべき特徴がありません。
全てのスペックがスタンダードで全くアクのない仕上がりです。
それゆえに全てが好バランス。これぞシンプルイズベストといったスペックです。
人を選ばず、誰が投げてもきっとほとんどの人がこのバレルに好印象を抱くでしょう。
初心者からベテランまで、誰でも使える一品です。
リングカットの配置バランスがGOOD
先に述べた通り、グリップエリアは4種のリングカットで構成されていますが、実際には前方の強いリングカットと中央以降のマイルドなリングカットの2段構成という認識でだいたい問題ないかと思います。
中央以降のリングカットは掛かりは弱く、飛ばす為のカットではないでしょう。
グリップ位置を確認・ナビするため、そしてリリースまでの間に手中でバレルがズレるのを防ぐ為のカットといったところです。
スローの邪魔になるようなことはなく、とても抜けが良いです。
対して前方のリングカットは掛かりが強く、バレルを飛ばす点でとても有効なカットです。
前方のカットによりダーツにしっかり力を乗せて飛ばすことができます。
前方のしっかり強いカットと後方の抜けの良いカットのバランスがとても良く、しっかり力が伝わりながらもとても抜けの良い仕上がりとなっています。
カット構成のバランスは非常にGOODです!
軽めのバレルは『脱力スロー』の入り口
紫陽花の重量は17.0gです。
バレルの高重量化が進む近年では17.0gは軽い部類のスペックです。
重いバレルにもメリットは多くありますが、軽いバレルにももちろん大きなメリットがあります。
重いバレルは質量が大きいためにある程度力を込めて投げてもキレイに飛んでくれますが、軽いバレルはそうはいきません。
しっかり『脱力』して力を伝えなければ思ったようにダーツは飛ばせないでしょう。
この『脱力』は、ダーツの上達においては非常に重要な要素です。
『脱力』したスローを育んでくれる軽いバレルは、特に初心者のフォーム形成には有効です。
また、重めのバレルを使用していて伸び悩んでいるプレイヤーなどにも『正しい力の伝え方』を再確認するために軽いバレルを使用するのは良い調整になるでしょう。
グリップの自由度はそこそこ。前後で違ったフィーリング
窪みを設けた形状ではないので、グリップの自由度は高いです。
前方と後方で違った性能のカットを配置していますので、持つ場所によって違ったフィーリングを得られます。
投げている中での微調整もしやすいでしょう。
気になる点
大きな特徴のないバレル
抜け目のない優秀なスペックのバレルですが、逆に言えばこれといった大きな武器となる特徴はありません。
プレイヤーモデルだけあって、お値段もプロ級の¥14,000強。
¥10,000程度で様々なバリエーションの優秀なバレルが手に入る昨今では、あえて積極的にこのバレルを求めるだけの要素が多くないように感じます。
飾りカットの是非
バレル前方には意匠をこらした縦カットが配置されていますが、必要性はないように思えました。機能的な意味合いは感じられません。
中指を置くプレイヤーのためにシンプルなリングカットを配してあげた方がよりユーザーフレンドリーかなぁと思えました。
総評
良い点・悪い点を挙げてきましたが、悪い点がほとんどイチャモンレベルになってしまいました。それほどこのバレルは優秀にまとまっています。
- 軽めの重量で脱力スローをサポート
- 非常に良バランスのカットにより、飛ばし易さと抜けの良さを両立
- 少し太めでしっかり握れる設計
- グリップの自由度が高く3フィンガー、4フィンガーどちらもOK
シンプルイズベストを体現した『紫陽花』。
JAPANレディースランカー・岩田夏海選手のプレーを支えるに相応しい、とても素晴らしい逸品でした!